今日は演奏の仕事で、20年来の音楽仲間のピアニストと一緒でした。
彼女とは価値観の似ているところが多く、音楽のことだけでなく
プライベートでも話の盛り上がることが多いので、一緒にいて楽しいなぁと
思う人のひとりです。
いつもいろいろな話をするのですが、
今日は最近のレッスンについての話題で盛り上がりました。
特にお互いに意見が一致したのは、
音楽を表現する楽しさを生徒さんに共感してもらえた時、
すごく嬉しいよね、とか。
美しいフレーズや和音に切なさを感じたり、ただの短調の曲にするのではなく
様々な感情を含めての短調の曲に仕上げることの難しさと楽しさを
少しでもいいから気づいてもらえた時の嬉しさとか(かなりコアな内容ですが)。
テキストの曲をどんどん進めていったり、
テクニックや譜読みの力をつけたり。
それも必要なことですが、音楽を楽しいと感じてもらえるのは
先生と共感できることがあったり、自分で感じたり表現する意欲や力がついたり
した時に「楽しいな」と感じてもらえるのではないかと。
お互いのレッスンの事を話しながら、すごくマニアックな話をしました。
私が高校生の時、フルートの曲で「しぼめる花の変奏曲」という曲に出会い、
美しいメロディーと華やかなバリエーションに魅了され、
先生に「吹きたいです!」とレッスンをお願いしたら
「譜面の音をさらう(吹く)ことは練習すればできるけど
あなたにはまだこの曲は早いわね。」
と言われました。
17歳の私は先生のおっしゃったことの意味が分からなかったのですが
大人になった今は、その意味がよーく分かります。
この曲はシューベルトの歌曲集「冬の旅」の中にある曲の一つで
失恋で心をずたずたに傷つけられ、生きる意味さえ見失いそうな状態にある
主人公の心情を歌った曲。
恋愛もしたことのない高校生にこんな複雑な心境や感情を表現するのは
人生経験値が少なすぎて、とうてい無理。ですね。
大好きなブリアコフさんの演奏です。
ああ・・・せつなくて美しい・・・。
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